体の使い方、いたわり方(食事編)
体の使い方、いたわり方(食事編)
霧雨魔理沙
「よ〜霊夢、遊びに来たぜ〜〜〜! ぎゃははははははははははははははっ!」
博麗霊夢
「ま、魔理沙! あんた顔真っ赤よ!? 大酒飲んだのね!?
そんなに酒を飲むなんて……体をこわしてもしらないわよ」
霧雨魔理沙
「れいむにだけは言われたくないぜ〜〜!!!!
これからも飲んで飲んで飲みまくってやる~あははははははははは!!!!!!」
*半日後*
霧雨魔理沙
「あ〜〜〜〜〜頭痛いっ、しぬしぬしぬ〜〜〜! もう二度と酒なんかやらんぜ!!!」
博麗霊夢
「だから言ったのよ……。もう少し、あんたは体をいたわったほうがいいわね」
*霊夢は語りはじめた*
博麗霊夢
「人の本質は魂だって、いつか言ったことがあるかもしれないわ。肉体は、その魂を助ける存在に過ぎない。
肉体は、ほんの百年ほどの間、魂が着る衣装にすぎないのよ。
でも、だからといって肉体を粗末にしていいわけじゃない。
肉体をいちど損なえば、その人生の間は、かなりの不便を強いられることになるわ。
教科書やノート、学校の勉強道具を大事に扱うのと同じで、あんたの肉体だって、今の人生のあいだ大切に扱ったほうがいいわ。いえ、扱うべきよ。
食事、睡眠、運動、そういった体の使い方を心得ているのに、それを実行しないならそれ相応の結果が返ってくるだけよ?
あんただって、子どものころからきちんとしたご飯の食べ方くらい教わってきたわよね?
そういう知識を持っている以上、あんたはそれを適切に使う責任があるのよ。
それを逸脱して暴飲暴食したら、責任を負うのは全部あんただわ」
霧雨魔理沙
「うぅ……頭だけじゃなく耳も痛いぜ……!」
博麗霊夢
「はぁ~……。
もし、あんたが人間じゃなくて動物だったら、話は違うわ。
動物は、知識を蓄えて判断するなんてことはできないもの。本能に従って食事するだけ。なんの責任もないんだから、本能に従ったところでなにも責められない。そうなっても過食や偏食にならない様、それなりに配慮がされているものなのよ。
……創造主によってね。
でも、あんたは人間でしょ?
知識によって自分の行動を変えられる。自分の欲求を抑えることもできる。
そういう力を持っているのに、それを怠って酒を飲みまくったら、その結果は全部じぶんに跳ね返ってきて当然よね」
霧雨魔理沙
「うぅぅっ……! 事実だから何も言い返せねーぜ!」
博麗霊夢
「別に責めてるわけじゃないわ。事実を言っただけ。あんたが可哀想だからって、ウソをつくわけにはいかないんだもの。
ま、事実ついでに、もう少しまともな飲食の仕方を考えてみましょうか」
霧雨魔理沙
「分かったぜ」
博麗霊夢
「食事について気を付けた方がいい事は、いくつかあるわね。
何を食べ、何を食べないかという事……つまり、栄養を十分摂り、害になるものは摂らないように考えるという事。
それから次に、どういう風に、どういう頻度で、どのくらいの量を食べるかという事……つまりは、消化吸収について配慮するという事。
大きく分けたら、このくらいかしら」
霧雨魔理沙
「おいおい、なんか小学生みてーだぞ?」
博麗霊夢
「その小学生レベルのことさえできていなかったのは、どこのどいつかしら……あ、目をそらすな。
まずは、栄養面について考えてみましょう。
詳細はテレビやネットやものの本にでも譲るとして……ま、基本的には、いろんな食品をバランスよく食べた方がいいわよね。それからお菓子やジャンクフード、妙な添加物が入ったもの、お酒は、やっぱり害になるからあんまり食べ過ぎない、飲み過ぎない方がいいわ。それこそ、子どもでも分かることね。
特に気をつけたいのは、みんな、基本的に野菜が不足しがちという点かしらね。
野菜は繊維質が多いし、そのままじゃ消化吸収しづらいから、普通は刻んだり熱を通したりしないと食べられないわよね? 腐ることもあるから、保管に手間がかかるし。
その割に、体をちょくせつ動かすエネルギー源というわけでもないから、つい軽視しがちだわ。
でも体の調子を整えるのに不可欠な栄養素がたくさん含まれているし、何より、消化吸収を助ける機能もあるから、積極的に摂っていくべきよね。
コンビニとかで何も考えずにご飯を買ったりしていると、どうしても野菜が不足しがちになってしまうのがネックよね」
霧雨魔理沙
「幻想郷に、コンビニなんてあったか?」
博麗霊夢
「……それから、肉や魚も次いで不足しがちだけれど、やっぱりある程度食べた方がいいわ。
逆に、ご飯とかパンとか、炭水化物は多く摂ってしまいがちな気がする」
霧雨魔理沙
「うーん……たしかに私も、つい昼飯は団子だけとかにしちゃうときあるなぁ」
博麗霊夢
「毎回それだと、あまりよろしくはないわ。栄養が偏るし……それに、消化吸収にもよくないもの。
消化吸収ってあまり目に見えないから分かりづらいけど、じつは、けっこう胃腸を忙しく働かせているの。かなりエネルギーを使う行為なのよ?
だから、消化吸収にもそれなりに気を使う必要があるの。
魔理沙。ご飯を食べた後すぐ運動したり、お風呂に浸かったりすると、お腹が痛くなったりするでしょう?」
霧雨魔理沙
「そういえばなるなぁ。なんで?」
博麗霊夢
「消化吸収の最中……何を食べたかにもよるけど、食事後の数時間は胃腸がかなり忙しく働いているわ。胃腸に血が集まっているから、体の他の部分でエネルギーをたくさん使うようなことはすべきじゃないわね。
激しい運動はもってのほかだし、眠くなってくるから頭を使う作業もいまいちね。
私たちの肉体は、何をいつ食べても簡単に消化吸収できるなんて、都合のいいようにはなっていないのよ。
食事の直後は、消化吸収を妨げないように安静にしておくべきだわ。
だから、野菜を食べて、繊維質で消化吸収を助けるといいわ。
その場合、食べる順番に注意ね。
他の物を食べる前に野菜を食べておくことで、栄養の吸収が緩やかになるの。特に炭水化物……糖質を野菜の後、いちばん最後に食べたほうがいいわね。
それから、よく噛んでゆっくり食べる事。
噛むことで唾液が分泌されて、その時点で糖はいくらか分解されるから、唾液は重要ね。
しっかり噛むと満腹感が出るから、食べ過ぎなくて済む。
ゆっくり食べれば、その分胃腸もびっくりさせないで済むわ。
……なんだか、幼稚園の先生みたいな気分になってきた。
ともかく! 消化を緩やかにすること。余計な負担を胃腸にかけないこと。
消化もしやすくなれば、肥満にもなりにくいからオススメよ」
霧雨魔理沙
「おぉ! そいつは耳より情報だぜ!」
博麗霊夢
「それから食事の時間や頻度にも気を付けなさい。
さっきも言った通り、ご飯は食べたら自動的にポンって栄養に変わるわけじゃないの。消化吸収の過程で、けっこう胃腸に負担がかかっているから……そういった事も考えてあげる必要があるわ。
特に、腸ってたくさんの免疫細胞が集まっていて、病原菌を排除するための免疫器官でもあるの。
だから消化吸収で胃腸が疲れ果てていると、その分免疫機能が低くなるし、病気にもかかりやすくなるのよ。
ほら、風邪を引いたときは、食欲がなくなるでしょう?
動物だって、怪我や病気で弱っている時は、何も口にしないで体を休めてることが多いわよね。
あれはやっぱり、免疫機能に集中したいから、一時的に消化吸収の負担を減らそうっていう、体にやどった叡智なのよ。
荒れた食事をしていて胃腸が慢性的に弱っていたとしたら、ありとあらゆる病気にかかりやすくなってしまうわ。
人生を精一杯生きようというつもりがあるなら、暴飲暴食を抑えて自分の体を守るのは、当然の義務だと思いなさい」
霧雨魔理沙
「なるほどな」
博麗霊夢
「それから、毎日胃腸を休ませる時間をしっかり確保したい所ね。
『プチ断食』とかいうのが流行っているけど、胃腸が休める時間が増えるし、変な風にやらなければとても良い事だと思うわ。
私もいつも朝ごはんは食べないから、夕ご飯から次の日の昼ごはんまで、けっこう空白がある計算になるわね。だから、こういう風に美しい体でいられるってわけ」
霧雨魔理沙
「……」
博麗霊夢
「で、胃腸を休ませるためにも、あまりたくさん食べすぎるのはよくないわ。
それから、常に何か食べていて、胃腸が休むまとまった時間がないっていうのもよろしくない。
毎日決まった時間に、2・3回食事をする……っていうのが、月並みだけどやっぱり一番いいと思うわ。
まぁ、赤ちゃんやお年寄りとか、胃腸が小さい人は何回にも分けて食べざるを得ないこともあるけどね。
あと、胃腸は夜9時くらいになると消化活動を停止してしまうそうよ。だから、そのあたりの時間になるまでに消化できなかった食べ物は、朝までずっと胃の中に残ることになるわ。
深夜に夜食を食べたりすると、お腹が痛くなることがあるでしょう? それは、やっぱり、その時間に食べるのはよくないっていう、体からのメッセージなのよ。
だから、夕飯は6時ごろに食べ始めるのが理想ね。肉とか、消化しづらいものを食べすぎないことにも気をつけておきなさい」
霧雨魔理沙
「へぇ……あんま考えたことなかったけど、いろいろ考えることがあるもんだなぁ……」
博麗霊夢
「だけど、体が健康だったら毎日気分よく過ごせるわよ。
自分の体のために、役に立つようご飯を食べたらいいわ。
そういう意味では、気をつけすぎて逆にストレスになってしまうというのもよくないわね。
何もかも完璧にする必要はないから、自分の体の調子と相談して、なるべくいい状態を目指したらいいわ」
霧雨魔理沙
「おう!」