チャクラ・エネルギー中枢(2/2)
チャクラ・エネルギー中枢(2/2)
(前回記事からの続き)
博麗霊夢
「ところが関係なくないのよ。
だって、全ては創造主の計画のもとに創られているのだから。この世に、お互いに関係がないものなんてないわ。
以前に話した1から7までの密度……その性質が、私たちの体内にあるという七つのエネルギー中枢と、ちょうど対応するような関係になっているのよ。
もちろん、これにも意味があるの。
この宇宙は、個々の小さな部分にも、全体が内包、要約されているという特徴的な構造をとっているわ。
七つの密度に分かれている中で、その一つの一つの密度で、それぞれ七つのエネルギー中枢に取り組むことになる。
いわば、宇宙全体の見取り図が――いえ、宇宙全体が、すでに自分の中に含まれているということよ。
日本語でそのものズバリの言葉が見当たらないんだけど、英語ではこのことをリキャピチュレーション(recapitulation)と言っているわ
」
霧雨魔理沙
「深淵すぎてよくわからんけど、なんとなくすごいぜ……神秘を感じるぜ!」
博麗霊夢
「さてエネルギー中枢に話を戻しましょうか。
黄色エネルギー中枢だけど、ちょうど三つ目ということもあって、私たちのいる三次密度と対応しているわね。社会性が主な特徴、という点も同じ。
それだけに、私たちはこの社会性という点をかなり重視する必要があるわ。
何が言いたいかというと、私たちは他人との関わりを積極的にもったほうが良いという事。
他人――というのはいないのだから正確には『他自己』とでも言うのでしょうけど――とかかわることで黄色エネルギー中枢は鍛え上げられるわ。
それに、今から説明する緑色エネルギー中枢……これも、他人との関わりなしで、自分ひとりでは決して開放し得ない。
四六時中、他人と一緒にいろとは言わないわ。時には、独りで自分を見つめなおす時間も必要でしょう。
けど長い間、どこかに引きこもって独りでい続けるというのは、大抵の場合進歩を遅らせることになる。
あまり、おすすめはできないわ。
さて、これまで言った赤、オレンジ、黄色、どれに閉塞がある場合でも、それ以上の魂の進歩はとても困難になる。
自分自身の生存、自分の個性や人格、他人との社会的な関わり……まずはそういった観点すべてで大きな問題がないよう、日々の生活で自分を磨き上げる必要があるでしょうね」
霧雨魔理沙
「ふうん、そっか……。
ま、私は社交性バツグンだからあまり問題はなさそうだな!」
博麗霊夢
「あんたの場合、射幸性と言ったほうが良い気がする」
霧雨魔理沙
「なんかすげぇ罵られた気がする!!」
博麗霊夢
「なら遮光性かしら」
霧雨魔理沙
「私はカーテンじゃねえ!!
はぁ……ところで、次の緑色ってのは何なんだ? さっき思わせぶりだったもんだから、気になるぜ」
博麗霊夢
「心臓のところにある緑色エネルギー中枢は、『万物への愛情』を司る器官。
こちらは、私達が次に進むべき四次密度に対応している。それだけに、この緑色エネルギー中枢の開放も、私達が中心的に取り組まなければいけない課題ということになるでしょうね。
とはいえ、ここが上手く開放されている人というのはそうそういないわ。
なかなか、人は利己的なところを捨てきれないものね。
ありとあらゆる他人がたとえ何をしようと、その人たちを赦し、愛せるようになった時、緑色中枢は開放される。
心の底からそんなことが思える人は、なかなかいないというのが現状ね。
そういった心境に達するには、この世の中には他人は存在せず、すべては自分自身の一部――創造主なんだという認識を、単に知っているだけじゃなく骨の髄まで染み込ませる必要がありそうね。
口でそう言うだけじゃなく、実際に他人を思いやる行動を取ることが、何よりも大事だと思うわ。
けっきょく、それなりの経験を積まなきゃ、そんな境地には行かないということね」
霧雨魔理沙
「うぅん、なんだか大変そうだな……」
博麗霊夢
「べつに焦る必要はないわ。私達には、無限の時間が用意されているんだから。
様々な経験をえて緑色中枢を開放した人は、身の回りに起こる経験すべてを、自分が他人に奉仕し、愛情を注ぐための良い機会という風にとらえるようになるわ。
それは、たとえ『他人』が自分を害しようとしている場合でも……もちろん、『他人』が自分を殺そうとしている場合でも同じ。
そこまで熟達した存在となると、別に殺されたって魂はすこしも傷つかないことを知っているわ。
まぁ、意識的にはっきり自覚してる人ばかりとは限らないけど。
ともかく、『他人』のことも自分の家族、いえ、自分自身と同じように考えているのはまちがいない。だから、たとえ自分の命がなくなろうとも奉仕しようとする。
緑色中枢が開放されるというのは、要するにそういうことね」
霧雨魔理沙
「ええ!? 命がなくなろうとも……?! さすがにやばすぎるぜ……。
少しくらい、抵抗したっていいじゃんか!」
博麗霊夢
「抵抗する必要があると思うならすればいいわ。何も、強制されることはないんだから。
ただ、相手の為に自分の命さえ捧げるという事――それが、最高の愛情表現であることには違いないの」
霧雨魔理沙
「ふーん……。
分からなくはないけど、黙って殺されるっていうのもなぁ……?
もうちょっとなんかしたほうがいいと思うぜ」
博麗霊夢
「確かに、唯々諾々と相手に殺されるというのは、愛情という点ではよくても、あまり賢い行為とは言えないこともあるわね。
その『賢さ』という点は、むしろ次の中枢……青色エネルギー中枢にかかわってくるの。
青色中枢は、喉のところにある。
コミュニケーションを司っている器官ね。自分の考えていることを他人に伝えられればられるほど、この中枢は解放されていくという事になる。逆に、上手く伝えられずに口をつぐむようだったら、開放は進まないということになるわね。
重要なのは、青色中枢を開放させた人は、他人がどんな行動をとろうと、それに左右されずに自分の意思を貫徹するだけの叡智を手に入れることになるわ。
だから、緑色だけではなく、青色中枢も開放した人ならば、大抵の場合唯々諾々と殺されるがままになる――ということは少ないでしょうね。
いくらなんでも、人を殺そうなんて考えてしまってるのは尋常じゃないし。
その他人のために自分が何をできるか、もうちょっと賢く考えることができるはずよ」
霧雨魔理沙
「なるほど……。
相変わらず口が上手いな霊夢は」
博麗霊夢
「そっちなのね……。
で、青色中枢の次に来るのは、藍色エネルギー中枢。
これは、脳の中にある『松果体』という部位にあるものね。
超能力や霊能力との関係が深いと言われているけど、それは本当なの。
第一チャクラ……赤色エネルギー中枢から吸収されて登ってきた光のエネルギーは、この藍色中枢までで止まるわ。そして、さらに上の紫色中枢から下ってくる光……人の中に潜在的な形で眠っている創造主の光と触れ合うことになる。
そうなった時、その人は創造主の無限の力にアクセスできるようになって、いわゆる超能力というものも自然に使えるようになるみたいね。
けれど、藍色中枢を開放するのも、やっぱり楽じゃないわ。
瞑想や訓練を重ねて、自分自身の魂の奥深くまで入り込んで探求を繰り返す必要がある。
言うなれば、藍色中枢は達人の領域ということ。
世の中、超能力や霊能力にあこがれて、聞きかじった表面的な知識でこの藍色中枢のみを鍛えようとする人が時々いるんだけど……それはまったくおすすめできない行為。
藍色の開放のためには、下位のエネルギー中枢を鍛えることが必要なのよ?
でも、超能力を得てチヤホヤされたいなんて妙な考えを抱く時点で、もう下位の中枢がおざなりになってるのがまるわかりじゃない。
もし無理やりに基礎をすっとばして藍色を開放したら、創造主の光のまばゆさに耐えきれなくて、正気を失うことになるかもしれない。
下位の中枢を十分鍛え、さらに自分自身が創造主であるという事を深く理解することで、この中枢を開放する段階に至る。そうするとその人は身の回りのあらゆる経験を、宇宙的エネルギーを体に取り込むための機会としてとらえるようになるわ」
霧雨魔理沙
「ひええ……なんだかすごいぜ。私はまだまだだな……」
博麗霊夢
「まぁここまで来た人の数というのは少ないし、あまり気にしない方がいいわ。
さて、最後の紫色エネルギー中枢……これは、頭頂部に位置しているわ。
実はこの中枢には、それ自体のバランスを取る必要はないの。
紫色中枢は、それ以外のすべての中枢の状態を総合してあらわされる。いわば、紫色中枢を見れば、その人がどんな状態か分かるという事。
紫色中枢を上手くバランスを取ろうと思ったら、他の全ての中枢のバランスを取らなければならないわ。
だから紫色のバランス化を目指す人は、ありとあらゆる経験、その一つ一つが創造主によって配剤された神聖なものだととらえるようになるわ。
どんな体験でも、よ?
世の中、そんなに派手な経験ばかりじゃないし、むしろ毎日の生活は地味などうでもよさそうな雑事とかがたくさんあるでしょ?
エネルギー中枢だなんて、そんな大層なこととなんの関わりもなさそうな事も多いわよね。
でも、その一つ一つが、エネルギー中枢の微妙なバランスを取るためには必要な、おおいに意味がある行為なの。
エネルギー中枢は、ただ機械的に開放すればいいという物じゃない。楽器のチューニングみたいに、最終的にはかなり微妙な調整が必要なのよ。
……まぁ、その段階まで行っている人はほとんどいないけどね。
ともかく、そうやって紫色中枢をのバランスを上手くとれば、そこですべてのエネルギー中枢が開放されたことになる。
そこまで至った存在は、いついかなる時でも収穫されて、三次密度から卒業し四次密度の世界へ転生する権利を得ることになるようだわ。
こんな所で、エネルギー中枢の概要はおしまい」
霧雨魔理沙
「うぉっ……。
なんか最後のほうはまだまだ私に関係なさそうだったけど、なんかすげぇ!」
博麗霊夢
「そう。
少しでも、人生の指針が立ったのなら幸いだわ。
でも一つだけ注意。
人生で起こってくる経験は、既に、あんた自身が創造主そのものだった時に立てた完璧な計画にのっとって運営されているのよ。
今あんたの目の前に起こっている経験は、あんたを成長させるために最適なもの。
だから、エネルギー中枢のことだけで頭がいっぱいになって、全てをそれに基づいて判断するような頭でっかちにはならないで頂戴。
今、目の前にある経験から逃げるための口実として、知識を使うのは絶対にやめて頂戴。
そんな事をすれば、後でそのツケを払わなきゃいけなくなるのは、自分自身なんだから。
むしろ、今あんたが経験していることを、前向きに乗り切るための力として、知識を使うようこころがけて」
博麗霊夢
「よかった。
じゃ、明るくなってきたしそろそろお暇するわ」
霧雨魔理沙
「げーーーーーーー!? もう朝ーーーーー!!!」